通勤時の出会い

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通勤時の出来事

先日、歩いて職場に向かっていると、一人の男性が路肩に車を停めて、進行方向とは逆に車道を歩いていく姿が目に入りました。

年齢は20代後半くらい。

明るめの茶髪で、服装から想像するに、建設関係の仕事。

昔はだいぶヤンチャしてたのかなと感じる風貌。

 

そんなお兄さんが、朝の通勤ラッシュで交通量が多い道路を逆走して歩いていく・・・。

「危ないなぁ。何考えてるんやろ。目立ちたがりやろか」といぶかしく思いながら、私はお兄さんの横を早足に通り過ぎようとしました。

すると、お兄さんの視線の先に、何やらモゾモゾと動く黒い物体が・・・。

「なんやろう」と思って近づくと、なんとカラスのヒナが1羽、道路わきにうずくまっていました。

 

すぐ後ろからヒナに近づいてきたお兄さん。

「カラスのヒナですよね。巣から落ちたんかも。このままやったら車に轢かれるかもしれない」

そう言いながらお兄さんは、両手を広げて、安全な歩道へとヒナを誘導し始めました。

まだ飛べないヒナは、必至に歩道側に逃げようとするものの、片足を怪我しているようで、一歩進んではすぐにうずくまってしまう状態。

 

すると何やら頭上からカラスのけたたましい鳴き声が聞こえてきました。

見上げると、電線にとまった2羽のカラスが、お兄さんがヒナに近づこうとするたびに激しく鳴きたてながら、羽をバサバサとばたつかせていました。

「この子の親かもしれんな」とお兄さん。

その時、バシャっという音が私のすぐ足元で聞こえました。

思わず下を見ると、私の靴のすぐ側の地面に、白っぽい液体が飛び散っていました。

これはもしや・・・。

威嚇しても我が子の側を離れない人間達に、親鳥が怒りの一撃をくらわしたのだと思います・・・。

髪の毛OK。

服OK。

靴OK。

体にかからずホ~~ッ。

 

糞騒動に一人挙動不審な私の横で、お兄さんはヒナを移動させるのに一生懸命。

結局、自力での移動は難しく、お兄さんが暴れるヒナを優しく抱え、歩道にある草の茂みにそっと移動させてくれました。

茂みの中でうずくまるヒナ。

「この後どうしましょう・・・」とお兄さんと話していると、通りすがりのおじさんが「警察や保健所に電話したらいいと思いますよ」とアドバイスをくれ、そのまま去っていきました。

 

「でも、保健所の人って、きっとヒナを処分しちゃいますよね・・・」と浮かない顔のお兄さん。

私が小学生の時、落下していたつばめのヒナを自宅に持ち帰り、お世話したことはあるけれど(結局死んでしまいました)、カラスとなると、うーーん、どうしたらいいのか未知の世界・・・。

動物病院に連れて行っても、そのあと飼えるわけでもないし・・・。

そもそもこれから仕事だし・・・うーーーん。

 

しばし沈黙が続いたあと、お兄さんが

「とにかく、一度聞いてみます!自分が連絡しときます!」

そう言うと、電話をしに自分の車へと戻っていきました。

お兄さんにまかせきりで申し訳なく思いながらも、私もその場を離れ仕事に向かうことにしました。

 

少し行った先にあるスーパーで昼御飯を買い、再び職場へと歩き出した時、「もうお兄さんも仕事に向かったかなぁ。電話、どうなったやろう」と気になり、ふとヒナがいた場所に目をやりました。

 

すると、

なんとそこには、

まだお兄さんの姿がありました。

車道側に座り込み、ヒナがいるであろう草の茂みを見つめながら電話をかけています。

何やら熱心に話しているお兄さん。

職場に電話しているのか?

保健所に電話をしているのか?

相手はわからないけれど、ヒナをいとおしそうに見つめるお兄さんの表情から、ヒナのために一番良い方法を模索していることがみてとれました。

通勤途中であっただろうに、お兄さんはその場を離れる様子もなく、ただずっとヒナの側に寄り添っていました。

 

結局、そのまま仕事に向かった私。

帰りしなにヒナのいた場所を通ってみたけれど、どこにもヒナの姿はなく、親鳥も見当たりませんでした。

 

ヒナは今、どうしてるんだろう。

あの時、お兄さんと一緒に最後まで見守っていればよかったと、少し後悔しています。

元気で過ごしてくれていたらいいなぁと心からそう感じます。

 

動物の命をかえりみない悲しいニュースであふれる昨今。

どこの誰かは存じませんが、小さな命を思いやる心優しいお兄さん、本当にどうもありがとう。

 

そして、我が子を思いやる親ガラスの愛情の深さを目の当たりにして、子を思い、子のために一喜一憂する親心は、どんな生き物でも共通なんだなぁと改めて実感しました。

ヒナのことが心配で心配でたまらなかっただろうに・・・。

今あのカラスたちが、家族みんなで一緒に過ごせていますように・・・。

あとがき

ネットで調べてみると、今の時期はちょうど、カラスの産卵・子育ての時期なんだそう。

散歩の時や通勤の時に、少し上を見上げてみてください。

つがいのカラスが仲良くカァカァ言いながら、飛び回っていますよ~。

※注:あまり凝視し過ぎたら攻撃されます!経験者より(;;)

それにしても私、通勤時にカラスとよく接点があります。

過去にこんな記事(やや下品な4コマ)を書きました。

www.sakanatsuriko.com

前世はカラス?

それとも、カラスを従えた魔女?

これからも、カラスと何やらありそうな予感がします・・・。